今日の診療
治療指針

中心静脈カテーテル留置法 [■血管穿刺]
☆☆
central venous catheterization
武山直志
(済衆館病院・救急センター長(愛知))

 中心静脈とは右房に近い上大静脈および下大静脈を意味し,その部位で測定した圧は右房圧を反映する.輸液路,血液浄化ルートとして使用する場合は,カテーテル先端が必ずしも右房に近接する必要はなく太い深部静脈であれば十分である.太い深部静脈も含めて中心静脈カテーテル留置と呼称する場合もある.穿刺部位は,内頸静脈,鎖骨下・腋窩静脈,大腿静脈が一般的である.肘の末梢静脈から挿入し先端を上大静脈に留置する末梢挿入型中心静脈カテーテル(PICC:peripherally inserted central catheter)もある.

A適応

1)循環作動薬,静脈麻酔薬など精密,微量,持続投与を要する薬剤使用時

2)高カロリー輸液製剤など末梢血管では血管炎を生じる薬剤投与時

3)血液浄化療法時のブラッドアクセス

4)一時的心臓ペースメーカ,肺動脈カテーテル,ECMO(extracorporeal membrane oxygenation)挿入時

5)末梢輸液路確保が難しい場合の緊急輸液路

B禁忌

 インフォームド・コンセントが得られない場合は禁忌となる.以下の病態ではリスクとベネフィットを勘案する必要がある.

1)出血傾向

2)気管切開患者への内頸静脈穿刺

3)刺入部位の血栓症

4)重度呼吸障害患者への内頸静脈,鎖骨下静脈穿刺

5)刺入部位の皮膚感染,熱傷

C準備と必要物品

 術者は,マキシマルバリアプリコーションを行う.皮膚消毒は穿刺部位変更に備えて両側に行う.消毒薬は,クロルヘキシジンアルコール,ポビドンヨードを用いる.中心静脈カテーテル,シリンジ,穿刺針,縫合セットなど必要物品のセットされたキットが市販されている.ガーゼ,ヘパリン加生理食塩液,局所麻酔薬は別に準備する.通常のモニタリング装置を装着し,救急カートの準備を行う.すべてのカテーテル,シリンジ,穿刺針,ガイドワイヤーはヘパリン加生理食塩液を満たしておく.中心

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