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手技

動脈穿刺,動脈カテーテル留置法,観血的血圧測定法 [■血管穿刺]
☆☆
arterial puncture,placement of an arterial line,continuous monitoring of blood pressure
高松純平
(関西労災病院・救急部部長(兵庫))

治療のポイント

・動脈穿刺は,末梢静脈からの採血が困難な場合や動脈血ガス(ABG:arterial blood gas)を測定するために行われる.

・ABGの測定は,酸素化,換気,酸塩基平衡などを評価するために行われる.

・観血的血圧測定を行うために動脈にカテーテルを留置する.

・観血的血圧測定は,患者の呼吸状態や循環動態が不安定で集中治療管理する場合などに行われる.

・動脈波形は,血液が収縮期に左心室から大動脈に駆出され拡張期に末梢から流出することによって描出される.

A準備

 消毒薬,滅菌手袋,穴あきドレープ,局所麻酔薬(患者の状態と穿刺部位による),穿刺針,シリンジを準備する.

 観血的血圧測定の場合は,生理食塩液,ヘパリン,加圧バッグ,トランスデューサー,観血的血圧測定用キット,外筒付き穿刺針,シリンジ,固定用フィルムも必要.

B穿刺部位

 橈骨動脈を第1選択とする.橈骨動脈を穿刺するときはアレンテストを行い,末梢の血流が尺骨動脈からのアーケードで保たれていることを確認する.その他,足背動脈,大腿動脈,上腕動脈の順に選択する.

C手技

1.肢位

 手首を背屈する(時に枕を敷く).背屈位にすると動脈が皮膚に近くなり,しかも可動性が減り穿刺がより容易になる.足なら尖足位とする.

2.カニュレーション

 術者が右利きなら右手に穿刺針をもち,左手で動脈を触知する.触知した動脈を左示指と中指で挟む,あるいは中枢側と末梢側を確認し,両指の間を穿刺点とする.針は穿刺するだけなら角度は90度に近くなっても構わない.動脈カテーテルを留置するなら中枢側に向けて,30~45度の角度で針を刺す.血液の逆血が内筒内に見られ,もう少し進めると外筒にも血液が返ってくる.そこで針をやや寝かせて外筒を進める.外筒を進めても内筒に血液が返ってくるなら内筒を抜く.カニューレの中枢を圧迫し,キットのルートにつなぐ.血圧の波形がモニター

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