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鎮痛・鎮静薬の使用法 [■麻酔,鎮痛]
procedural sedation and analgesia
高須 朗
(大阪医科薬科大学教授・救急医学)

治療のポイント

・処置時の鎮静・鎮痛(PSA:procedural sedation and analgesia)は検査や処置を行うときに,苦痛や不安を安らげるために鎮静・鎮痛薬を使用することをいう.

・救急外来では器具による気道確保を行わないことを前提にPSAを行う.

・鎮静レベルの評価が重要である.

A鎮静レベル

 質問などにしっかり反応できる「軽微」,意識がやや低下するが質問や痛み刺激で反応する「中等度」,さらに意識が低下し呼吸管理介入の可能性がある「深い」などに分かれる.一般的な救急外来では中等度までにとどめるべきである.

BPSAの実際

1.患者状態の評価

 アレルギー歴と最終食事の確認や短頸,小下顎,巨舌の有無や肥満度をチェックする.また,アルコールや薬剤の影響がある場合での実施は慎重に判断する.

2.モニター

 バイタルサインとSpO2 をチェックする.カプノグラフィでより詳細に呼吸状態を知ることができる.中等度以上の鎮静レベルでは5分ごとのバイタルチェックを行う.

C鎮痛・鎮静薬の使用法

1.鎮痛薬の使用法

Px処方例 下記のいずれかを用いる.

1)フェンタニル注(50μg/mL) 0.02~0.06mL/kg 静注(麻薬処方箋が必要)

2)ケタミン(ケタラール)注 アトロピンの前投与後,初回1~1.5mg/kgを緩徐に静注.必要に応じ初回量の半量を追加保外(麻薬処方箋が必要)

注意 1)は単独使用で中等度以上の鎮静は困難である.2)は全身麻酔薬である.鎮静と健忘作用があり,急速投与で無呼吸をきたすことがある.鎮痛のみの目的では0.1~0.3mg/kgで投与する.

2.鎮静薬の使用法

Px処方例 下記のいずれかを用いる.

1)プロポフォール(1%ディプリバン)注 初回0.5~1mg/kg 静注.必要に応じ初回量の半量追加保外

2)ミダゾラム(ドルミカム)注 1~2mg(高齢者では0.5

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