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局所陰圧閉鎖療法 [■外傷処置]
☆☆
negative pressure wound therapy(NPWT)
藤見 聡
(大阪急性期・総合医療センター・救急診療科主任部長)

 局所陰圧閉鎖療法(NPWT)は創傷部に適度な陰圧を連続,あるいは間欠的にかけ続けることで肉芽組織形成を促進する治療で,2009年より本邦に導入された新しくかつ創部管理においては画期的な方法である.

 陰圧維持管理装置と創傷面に貼付する局所陰圧閉鎖処置用材料(専用のスポンジやタオルならびにそれをシールするドレープ)とからなる().

 適応疾患は「既存治療が奏効しない,あるいは奏効しないと考えられる難治性創傷」である.

A適応傷病

1.外傷性裂開創(1次閉鎖が不可能なもの)

 一般的な外傷がこのカテゴリーに該当する.特に剥皮のある新鮮創やデグロービング損傷は皮膚を縫合しても皮下組織の生着が認められないことが多い.剥皮部分の皮膚を切除して皮下脂肪のレベルでNPWTを行う.

2.外科手術後離開創・開放創

 主に胸部・腹部外科領域の術後縫合創離開がこのカテゴリーに該当する.緊急手術,腹膜炎手術後に縫合創離開はしばしば経験される.壊死組織の除去後に創縁同士の距離があり再縫合できない場合や,皮下脂肪の色調がよくない場合にNPWTを行う.

3.四肢切断端開放創

 重症軟部組織感染症,重症下肢虚血,糖尿病性足壊疽による四肢切断後の縫合創離開がこのカテゴリーに該当する.露出した骨膜の上にNPWTを行うこともある.

4.デブリードマン後の皮膚欠損創

 褥瘡,熱傷,皮膚潰瘍などの壊死組織を除去した創がこのカテゴリーに該当する.日本褥瘡学会が編集している「褥瘡予防・管理ガイドライン(第5版)」において,感染・壊死がコントロールされた創には行ってよいとされている.肉芽の形成は,ゆっくりで,保険適用のある28日間NPWTを実施しても良好な肉芽ができない場合もしばしば経験する.

5.手術部位感染のリスクが高い患者の手術1次縫合創

 2021年4月より追加された新しい適応疾患で,定期手術後に使うことが許容された.しかし保険適用条

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