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非侵襲的循環モニター [■その他]
☆☆
non-invasive hemodynamic monitoring in critical care
竹内一郎
(横浜市立大学主任教授・救急医学)

治療のポイント

・従来より重症患者の血行動態のモニタリングとしてSwan-Ganzカテーテルなどの侵襲的な方法によって病態を把握し,輸液やカテコールアミンの投与量の治療戦略策定に役立てていた.しかし,近年はICU管理においてもより低侵襲な方法が推奨されている.

・非侵襲的モニターであるフロートラックシステムによって測定されるSVV(stroke volume variation)やPiCCOカテーテルによるPPV(pulse pressure variation)などの動的指標はその一点のみで評価すべきでない.その経時的推移や他のパラメータと併せて総合的に判断することが重要である.

・SVVやPPVは本来,人工呼吸器装着患者における指標である.自発呼吸下での解釈には注意を要する.

A重症患者におけるモニタリング

 敗血症性ショック,重症外傷,重症熱傷の治療では多量の輸液が必要となる.一方で過度な輸液は肺うっ血をきたし,人工呼吸器からの離脱を妨げる要因となる.ICUでの重症患者の管理では多すぎず,少なすぎず,という「至適ボリューム」を常に考慮しながらの治療が重要である.

 Frank-Starling機序によれば前負荷と心拍出量は密接に関係するので,後負荷,心拍出量を併せたモニタリングをするのが適当である.従来これにはSwan-Ganzカテーテルが用いられてきた.Swan-Ganzカテーテルを内頸静脈から挿入し,右心房・右心室を経由して先端部位を肺動脈に留置することによって右房圧(RAP:right atrial pressure),右室圧(RVP:right ventricular pressure),肺動脈圧(PAP:pulmonary artery pressure),肺動脈楔入圧(PAWP:pulmonary artery wedge pressure),心拍出量(CO:card

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