ポイント
・骨髄路は迅速に確保できるため重要性が高い.
・緊急に輸液路確保が必要だが,末梢静脈路確保が困難な場合にはすみやかに実施できるよう,器材を準備しておくとともに手技を会得しておく.
・起こりうる合併症を理解しておく.
A適用と禁忌
適用は,心肺停止,外傷,ショックなどの危機的状況であるが迅速な末梢静脈路確保が困難な場合.絶対禁忌はない.骨髄輸液路は,一般的に中心静脈へ投与する薬剤であればすべて投与可能である.
B準備
清潔操作を基本とする.滅菌手袋,消毒薬,骨髄輸液針または骨髄穿刺針,輸液路を連結するエクステンションチューブ,シリンジ,生理食塩液(20mL),意識がある場合には局所麻酔薬を準備する.
専用の骨髄内輸液針には電動式(EZ-IO骨髄穿刺システム,Teleflex),ばね式(BIG-A15G骨内医薬品注入キット,日本光電)のほか骨髄採取針(イリノイ骨髄穿刺針,BD)も使用できる.
C穿刺部位
脛骨近位端が第1選択である.小児・成人とも大腿骨遠位端,上前腸骨稜,上腕骨近位部なども使用でき,成人ではさらに鎖骨,胸骨,腸骨アプローチも可能である.ただし骨折肢や穿刺部位より近位の血管損傷が疑われる骨,局所の感染巣と思われる部位は避ける.
小児の脛骨アプローチでは,脛骨結節から乳児であれば1~2cm,年長児であれば2~3cm遠位を目安に,内側で比較的平坦な部分を穿刺する.成人では,脛骨粗面から内側に2cm,頭側に1cm,脛骨の平らな部分からアプローチするが,骨が硬くて穿刺が困難な場合は腸骨からの穿刺が比較的容易である.
D穿刺方法
脛骨アプローチであれば下肢を軽度外転・外旋させ膝関節を軽度屈曲させる.穿刺部を消毒後,穿刺部の皮膚に少し緊張をかけるようにし,穿刺針が骨に対して垂直になるよう皮膚を穿刺する.術者が自身の手指を傷つけないために,穿刺部直下には指を入れない.骨皮質に針が当