今日の診療
治療指針

腰椎穿刺,脳脊髄液採取法 [■その他]
☆☆
lumbar puncture(spinal tap)and cerebrospinal fluid collection
守谷 俊
(自治医科大学大学院教授・地域医療学系救急医学)

A目的

1)診断のために髄液の性状や頭蓋内圧を評価する.

2)検査目的で造影剤や放射性同位元素を髄液腔に投与する.

3)治療目的で薬剤を髄液腔に投与する.

4)治療適応の判断や治療そのものとなる.

B禁忌

1)頭蓋内圧亢進がある(画像診断において頭蓋内占拠性病変を認める).

2)髄液流出障害,脊髄液閉塞がある.

3)穿刺部位に感染がある.

4)出血性素因がある.

C準備

 標準予防策装備,消毒一式,穴あき滅菌覆布,滅菌ガーゼ,スタイレット付き腰椎穿刺針(21~27G),注射器,局所麻酔薬,髄液圧測定棒,三方活栓,滅菌試験管,絆創膏,油性ペン.

D手技

1.体位

 側臥位が原則である.背中がベッドの端から5cm程度の位置になるように頸部を前屈し臍部を見るように両手で両膝を抱え,穿刺部位を突き出す姿勢をとる.介助者に下側になる大腿部を十分に抱えてもらい,ベッドに対して脊柱を平行にし,背中を地面に対して垂直にする.

 側臥位が困難な場合は坐位で行うが,上体を前かがみにする際に枕を腹部に抱えてサイドテーブルにかがみ込んでもらい,穿刺部が突き出る姿勢をとる.

2.穿刺部位

 Jacoby線(左右の腸骨稜の最上端を結ぶ線)が第4腰椎棘突起に相当するので,第3~4・第4~5腰椎棘突起間より穿刺する.棘突起はあらかじめマーキングしておく.

3.穿刺

 患者にベッドから5cm離れた位置で背中を出してもらい,いくつかの穿刺部位を考え広範囲に消毒を行う.局所麻酔薬は穿刺部の皮下に浸潤麻酔を行う.穿刺針はできるだけ細い針を選択し,針の切り口が上を向くように両第1~3指で等しい力で把持し,4~5指を患者の背中に添えてゆっくり進めていく(大人の場合は皮膚から硬膜まで4~6cm程度)が,硬膜を貫いた際に抵抗が少なくなる.内筒を抜去し髄液の流出を確認する.流出が認められない場合には針を90~180度回転させる.それでも流出が認められない場合は

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