今日の診療
治療指針

ブデソニド/グリコピロニウム臭化物・ホルモテロールフマル酸塩水和物


特 徴

 COPD治療配合薬.ブデソニドは吸入ステロイド薬であり炎症を抑える作用がある.これを次の気管支拡張作用のある2剤とともに配合したものである.まず,グリコピロニウム臭化物は抗コリン薬で,気管支平滑筋のアセチルコリン受容体をブロックすることで気管支平滑筋の収縮を抑制して,気管支を拡張させる.また,ホルモテロールフマル酸塩水和物はβ2刺激薬としてアドレナリンβ2受容体を刺激することによって気管支平滑筋を弛緩させ,気管支を拡張させる.これらはともに長時間作用性であり,本製剤はこれら三者を配合したもので,これらをエアロスフィアとよばれる新規のデバイスにて吸入させる.エアロスフィアは加圧式定量噴霧吸入器であり,吸入のために努力呼吸を必要とせず,吸気流量の低いCOPD患者でも吸入しやすいとされる.慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎,肺気腫)の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解(吸入ステロイド薬,長時間作用性吸入抗コリン薬および長時間作用性吸入β2刺激薬の併用が必要な場合)を適用として2019年6月に製造販売が承認された.

商品名

 ビレーズトリエアロスフィア吸入

主症状

 抗コリン薬やβ2刺激薬の副作用として口内乾燥,悪心,頭痛,浮動性めまい,落ち着きのなさ,不眠症,振戦,頻脈,動悸,筋痙縮,尿閉が報告されている.また,頻度は低いとされるものの,起こる可能性のある重大な副作用として心房細動,重篤な血清カリウム値低下,さらには気管支けいれんを誘発することがあるとされる.さらに,ステロイドには免疫抑制作用があり,口腔内カンジダ症を発生させることがある.

治 療

 気管支けいれんが認められた場合には,直ちに本剤の投与を中止し,適切な処置を行う.本剤の過量投与により,抗コリン薬の作用による症状(霧視,口内乾燥,悪心など),β2刺激薬の作用による症状(筋痙縮,振戦,頭痛,動悸,収縮期高血圧など)があらわれ

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?