今日の診療
治療指針

エンパグリフロジン・リナグリプチン


特 徴

 選択的SGLT2阻害薬/胆汁排泄型選択的DPP-4阻害薬配合薬.2型糖尿病新医療用配合薬.

 腎臓の上皮細胞膜を経て細胞内へのグルコースの輸送は,ナトリウム-グルコース共輸送体蛋白(sodium-dependent glucose transporter)のSGLT1やSGLT2の存在に依る.これらは,ナトリウムポンプによって供給されるエネルギーによりグルコースの細胞内への取込みを促進する蛋白で,近位尿細管の管腔側に発現している.エンパグリフロジンによりSGLT2を阻害すると,糸球体で尿中にろ過された糖の近位尿細管での再吸収を抑制し,尿中への排出を促進することにより,インスリン分泌能の低下やインスリン抵抗性とは独立して血糖値の低下に寄与する.

 一方,食事摂取後に血糖値の上昇に応じて消化管から分泌され,インスリン分泌を促進させるように働く消化管ホルモンをインクレチンと総称するが,その代表にグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)とグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)がある.これらはいずれもジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)により分解されて活性を失う.リナグリプチンはDPP-4を選択的に阻害することによってGLP-1とGIPの両方の分解を抑制し,グルカゴン分泌を抑制し,インスリン分泌を促進して,血糖コントロールを改善する.

 本薬はDPP-4阻害薬であるリナグリプチンと,SGLT2阻害薬であるエンパグリフロジンを配合している.2型糖尿病成人患者の糖尿病治療を適用として,2018年9月に承認された.

商品名

 トラディアンス配合錠AP,トラディアンス配合錠BP.トラディアンス配合錠APはリナグリプチン5mgとエンパグリフロジン10mgとの配合薬,トラディアンス配合錠BPは,リナグリプチン5mgとエンパグリフロジン25mgとの配合薬.

主症状

 主な副作用は血

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