今日の診療
治療指針

ビニメチニブ


特 徴

 抗悪性腫瘍薬,MEK阻害薬.核を有する細胞には広くセリン/スレオニンキナーゼであるmitogen-activated protein kinase(MAPK)が存在する.MAPKは活性化すると核内へ移行して細胞外のシグナルを核内へと伝える機能を果たしていると考えられている.MAPK経路は人体の恒常性を維持するように制御されているが,MAPK経路に異常が起きると,癌をはじめとして自己免疫疾患,神経変性疾患などになると考えられている.悪性黒色腫の90%にMAPK経路の異常な活性化が起きており,白人の悪性黒色腫の数十%にBRAF変異という変異が認められるという.MEK(mitogen-activated extracellular signal-regulated kinase,分裂活性化細胞外シグナル関連キナーゼ)は,MAPKシグナル伝達経路における重要なプロテインキナーゼであり,これに不適切な活性化が起きると細胞増殖が異常に亢進するという.

 ビニメチニブは,ヒトMEK1およびMEK2の活性化およびキナーゼ活性を阻害することにより,MAPK経路のシグナル伝達分子のリン酸化を阻害し,癌細胞の増殖を抑制し強い抗腫瘍効果を発揮するとされた.エンコラフェニブとの併用により,その効果がさらに高まると期待されている.また,BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫を適用症として2019年1月に製造販売が承認された.

商品名

 メクトビ錠

主症状

 頻度の高い(>20%)副作用は,悪心,下痢,疲労,血中CPK上昇であった.頻度は低いものの重大な副作用としては皮膚悪性腫瘍(基底細胞癌,ケラトアカントーマ),眼障害(網膜障害,ぶどう膜炎),心機能障害(左室機能不全,駆出率減少),肝機能障害,横紋筋融解症などが報告されている.

治 療

 異常が認められた場合には,減量,休薬,または投与を中止す

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