治療のポイント
・急性中毒の治療のメインは支持療法(呼吸・循環などのサポート)である.
・十分な支持療法のうえ①吸収の阻害(活性炭や腸洗浄),②排泄の促進(尿のアルカリ化や血液透析)③拮抗薬の投与,の3つをそれぞれの症例に応じて行う.
◆病態と診断
A病態
・どんな物質であっても,たとえ水のように毒性が低くても,過量に摂取すれば中毒に至る(“The dose makes the poison”,中毒学の父といわれる16世紀スイスの医師パラケルススの言葉).何に,どのように,どれぐらいの時間,どういった背景で曝露したのかを知ることが,その病態把握に重要である.MATTERS(表1図)を参考に病歴聴取する.
B診断
・トキシドロームはToxicとSyndromeの2つの言葉の合成語である.中毒患者のバイタルサイン・症状の組み合わせで,どのようなバイタルの異常や症状があれば何の中毒なのか推定できる(表2図).