頻度 割合みる
治療のポイント
・意識障害を伴う薬物過量服薬のときに必ず疑われる薬剤である.
・基本的に本薬剤単体で致死量になることは少ない.
・ベンゾジアゼピンは一般的に処方される睡眠薬である一方,バルビツール酸は合剤の廃止などにより以前より出会う機会が少なくなった薬剤である.
・過量服薬して時間が経っているとほかの合併症,誤嚥性肺炎,同じ姿勢による横紋筋融解症などを発症していることがある.
・まずは薬物を服用しているのではないかと疑うことから治療が始まる.
◆病態と診断
A病態
・ベンゾジアゼピン,バルビツール酸,アルコールは脳内のGABAの作用の増強により細胞の興奮を抑制し,中枢神経を抑制する.
・ベンゾジアゼピンは,大量服薬による中毒症状である傾眠や重症になったときの呼吸抑制よりも誤嚥性肺炎,低体温,非外傷性挫滅症候群などの合併症が問題になる.
・バルビツール酸は橋に作用し,呼吸中枢の抑制による呼吸抑制・停止,体温調節機能の抑制による低体温,気道の線毛運動の抑制による気道分泌物の排出困難に伴う無気肺が特徴的である.
B診断
・尿中薬物定性検査:簡易であるが偽陽性,偽陰性に注意が必要.
・血中薬物の定量検査:フェノバルビタールは多くの施設にて測定可能.
・意識障害患者に対して薬物の影響を疑うこと:ベンゾジアゼピン,バルビツール酸はともに服薬後の空の薬包があれば診断につながるかもしれない.そのため,意識障害で搬送される前に身の回り,特にゴミ箱に空の薬包がないか,探すことが大事である.また,お薬手帳などから内服薬として処方されていることがわかれば,飲んだ可能性を疑うことができる.ベンゾジアゼピンを服用している可能性があれば,フルマゼニルの投与にて診断がつくかもしれない.フルマゼニルはベンゾジアゼピンの内服による意識障害と判断した場合に適応がある.覚醒するまで0.2~0.3mgの静注を繰り返し行ってもよ