今日の診療
治療指針

環系(三環系および四環系)抗うつ薬中毒,炭酸リチウム中毒
cyclic antidepressant poisoning,lithium poisoning
磯川修太郎
(聖路加国際病院・救急部・救命救急センター(東京))

Ⅰ.環系(三環系,四環系)抗うつ薬中毒

頻度 割合みる

◆病態と診断

A病態

・第1世代三環系(イミプラミン,アミトリプチリン,クロミプラミンなど)では,Naチャネル阻害作用による心毒性が問題となる.pHが低下するとNaチャネル阻害作用が増強するため,心室性不整脈や血圧低下による循環破綻に注意する.

・第2世代三環系であるアモキサピンは,心毒性は弱いがけいれん重積発作などの中枢神経毒性が強い.

・第2世代四環系であるマプロチリンでは,けいれん発作や心室性不整脈が生じやすい.

B診断

・尿中薬物簡易スクリーニングキットは有用だが,偽陰性・偽陽性がありうる.

12誘導心電図は心毒性の予測や治療の指標に有用である.QRS幅延長(>100msec)やaVR 誘導でのR波増高(>3mm)の場合は,けいれんや心室性不整脈の発生リスクが高い.

◆治療方針

 胃洗浄・活性炭の投与に関しては「急性中毒治療の原則」の項()を参

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?