Ⅰ.アセトアミノフェン中毒
治療のポイント
・服用時間と血中濃度を目安にノモグラムを用いて肝障害の可能性を評価する.
・拮抗薬であるN-アセチルシステイン(NAC)はアセトアミノフェン摂取8時間以内に投与を開始する.
◆病態と診断
A病態
・アセトアミノフェンは市販の感冒薬や解熱鎮痛薬に広く含まれており,入手しやすい薬物である.
・吸収後は肝臓でグルクロン酸抱合や硫酸抱合され尿中へ排泄されるが,大量内服によりこれらが飽和状態になりチトクロムP450酵素系による代謝へと促され,中間代謝産物であるN-アセチル-p-ベンゾキノンイミン(NAPQI)が産生され,肝細胞内の蛋白質と結合し,肝障害を引き起こす.
・NAPQIを無毒化するグルタチオンの前駆体であるN-アセチルシステイン(NAC)を投与することでNAPQIの尿中排泄を促進する.
B診断
・感冒薬や解熱鎮痛薬を大量服薬した病歴があればアセトアミノフェン中毒を疑