頻度 割合みる
治療のポイント
・テオフィリン中毒,カフェイン中毒ともに特異的な治療は存在しない.重症例については緊急で血液浄化療法を行う.
・不整脈などにより循環維持が困難な場合は,躊躇なく経皮的心肺補助装置を導入する.
◆病態と診断
A病態
・テオフィリン,カフェインともにキサンチン誘導体であり,薬物動態や毒性は類似する.
・テオフィリンは気管支拡張薬として気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患の発作予防や治療に用いられるが,治療係数が小さい(有効血中濃度8~20μg/mL)ために血中濃度がわずかに上昇しても中毒となりうる.
・カフェインは茶葉やコーヒーなどの嗜好品に加え,総合感冒薬や鎮痛薬,眠気防止薬などの一般用医薬品に配合される.近年,カフェインを主成分とする市販薬やエナジードリンクの過量服用により救急搬送される事案が増加している.
・重症では中枢神経症状(不穏,興奮,けいれん,振戦,昏睡),循環器症状(低血圧,上室性・心室性頻脈,心室細動),消化器症状(悪心,嘔吐)を呈し,代謝異常(低K血症,低P血症,高血糖),横紋筋融解症,高乳酸血症,代謝性アシドーシスを認める.
B診断
・これらの製剤を大量服用して上記の症状を呈する場合は急性中毒を,テオフィリンを定期内服している患者が上記の症状を呈する場合は慢性中毒を疑う.
・テオフィリン血中濃度が20μg/mL以上,カフェイン血中濃度が25μg/mL以上であれば診断は確定するが,カフェインについては迅速に血中濃度を測定できる機関は少ない.実際は病歴と臨床所見で診断をつける必要がある.
◆治療方針
頻脈性不整脈に対しては静注β遮断薬(プロプラノロール,ランジオロール)を使用する.最も注意すべきは,低血圧と心室頻拍や心室細動などの致死性不整脈である.いずれも薬物治療に抵抗性であることも多く,経皮的心肺補助装置(PCPS:percutaneous cardiopu