頻度 割合みる〔一酸化炭素(CO)中毒はわが国の中毒死の原因物質の第1位を占め,年間2,000人を超える.災害時に件数が増える傾向がある〕
治療のポイント
・COは無色無臭の気体で,中毒症状も多岐にわたり,原因不明の意識障害で来院する場合があり診断には注意を要する.
・心筋に対して親和性が高く心筋障害をきたすことがあり,心機能評価は必須である.
・急性症状が回復後,数日から数週間後に症状が再燃あるいは増悪する遅発性脳症(DNS)の経過をとる場合があり,高次脳機能検査を施行するなど注意深い観察が必要である.
◆病態と診断
A病態
・COはヘモグロビン(Hb)と容易に結合し,カルボキシヘモグロビン(COHb)を形成する.酸素よりも親和性が約200倍高いことによりHbへの酸素の結合を阻害して酸素輸送を妨げ,組織への酸素放出も妨げる.チトクロームCにも結合し,ミトコンドリアの電子伝達系機能を低下させる.酸素需要