頻度 あまりみない
治療のポイント
・脱水と溶血性尿毒症症候群(HUS)を予防するため,経口補水液の投与および必要に応じた経静脈的輸液が重要である.
・止痢剤はHUSの発症率を高めるため使用してはならない.
・抗菌薬は腸管出血性大腸菌からの志賀毒素の産生を促しHUSの発症率を上げるため,成人では原則として使用しない.
・小児では発症早期の経口ホスホマイシン(FOM)の投与がHUSの発症率を下げる可能性がある.
◆病態と診断
A病態
・志賀毒素(ベロ毒素)を産生する腸管出血性大腸菌(EHEC)による大腸炎である.
・潜伏期は3~5日.頻回の下痢で始まり,1~2日で血便(新鮮血)がみられる.強い腹痛やテネスムス(しぶり腹)を伴う.
・発症から約1週間後,幼児と高齢者を中心に6~15%の患者が溶血性尿毒症症候群(HUS:hemolytic uremic syndrome)を発症する.
・HUSは,①溶血性貧血,②血小