頻度 あまりみない
◆病態と診断
A病態
・オウム病は,罹患鳥の分泌物や乾燥した排泄物中のChlamydia psittaciを吸入して引き起こされる呼吸器感染症である.推定感染源としてはインコに関連したものが最も多く,次いでハトやオウムに関連したものである.鳥では保菌していてもほとんどは外見上健常である.不定期に便中や分泌物中に菌を排泄するが,産卵期や雛を育てる期間などでストレスが加わったとき,ほかの感染症を合併したときなどには,大量にC. psittaciを排泄しヒトへの感染源となる.
・感染経路は,罹患鳥の分泌物や乾燥した排泄物,羽毛などを介して菌を経気道的に吸入したり,口移しで餌を与えたりする際の経口感染によって起こる.
B診断
・最も重要な診断ポイントは,鳥との接触歴や飼育歴を詳細に問診することである.
◆治療方針
治療に際し重要なことは,抗菌薬が細胞内に十分移行することである.ペニシリン系薬やセフェム系薬などのβ-ラクタム系薬は細胞内移行性がきわめて低く,その標的とする細胞壁をクラミジア属は有さないため,抗クラミジア活性を全く示さない.同様にアミノグリコシド系薬も細胞内移行性が低く,抗クラミジア活性を有さない.細胞内移行性が良好かつクラミジアの増殖抑制を強く示す薬剤には,テトラサイクリン系,マクロライド系,ニューキノロン(レスピラトリー・キノロン)系薬などがある.
A外来管理可能な軽~中等症例
Px処方例 下記のいずれかを用いる.
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