頻度 あまりみない
GLリケッチア症診療の手引き(2019)
治療のポイント
・原因不明の皮疹を伴う熱性疾患では,リケッチア感染症も鑑別診断に加え,山林や草むらなどでの野外活動の有無を確認する.
・刺し口の存在は,本症を疑う重要な所見である.
・本症を疑った場合には最寄りの保健所に相談し,必要に応じて確定診断のための検査を依頼する.
・リケッチア感染症治療の第1選択はテトラサイクリン系薬投与である.
Ⅰ.つつが虫病
◆病態と診断
A病態
・つつが虫病は,リケッチア目に分類されるOrientia tsutsugamushiによる感染症で,自然界に生息する微小なダニであるツツガムシ幼虫の刺咬により媒介される.その刺し口が本感染症の特徴的所見となる.
・過去に秋田,山形および新潟において夏に発生する風土病として知られた,アカツツガムシが媒介する死亡率の高い古典的つつが虫病(Kato型)はほとんどみられなくなった.現在では,秋と春に発生する非アカツツガムシ(タテツツガムシ,フトゲツツガムシなど)が媒介するつつが虫病(新型つつが虫病と表現されることもあるが,最近はあまり使用されない)が北海道を除く全国に発生している.
・年間500例程度の報告があるが,潜在例はさらに多い可能性がある.
B診断
・本症を疑った場合,媒介ダニとの接触歴を確認し刺し口を探す.刺し口は直径10mm程度の大きさで,発赤の中心に痂皮が付着することも多く,毛髪に隠れた頭皮や下着で覆われた部位を含む全身を調べることが必要となる.
・5~14日の潜伏期を経て,全身症状(発熱,悪寒,頭痛,全身倦怠感,皮疹,リンパ節腫脹など)を呈し発症する.皮疹は体幹部に多い傾向がある.CRP強陽性,肝逸脱酵素(AST,ALT,LDH)の上昇および蛋白尿を示すことが多い.重症例では血小板減少を呈しDICに至ることもある.
・血清診断(IgGおよびIgM抗体価)として,K
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