頻度 あまりみない
ニュートピックス
・ワクチンの製造上の問題に関連した出荷調整により,円滑な定期接種が行われないことがあるが,日本脳炎ワクチンでも2021年から同様の事例が発生した.
治療のポイント
・抗ウイルス薬が存在しないため,対症療法が中心となる.
・生後6か月から接種可能な不活化ワクチンによる予防効果が高い.
◆病態と診断
A病態
・フラビウイルス科フラビウイルス属の日本脳炎ウイルス(プラス鎖RNAウイルス)を原因とする感染症である.
・日本脳炎ウイルスが,自然宿主と考えられる鳥類からブタに感染し,ブタの間で感染拡大したあと,コガタアカイエカにより吸血され,その中腸で増殖する.
・媒介蚊によりヒトが吸血される際にヒトに入り込み,ウイルス血症を起こして中枢神経系の神経細胞の体部や軸索,樹状突起などに感染し,周囲に炎症を起こす.
・1~2週間の潜伏期を経て,100~1,000例に1例の割合で急激な発熱と頭痛で発症し,項部硬直,羞明,意識障害,興奮,仮面様顔貌,筋硬直,頭部神経麻痺,眼振,四肢振戦,不随意運動,運動失調,病的反射が出現する.
・脳炎の致死率は約25%,後遺症を残す率は約50%.
B診断
・血液・髄液での分離同定あるいはPCR法による病原体の検出,血清・髄液でのIgM抗体の検出,血清での抗体(中和試験あるいは赤血球凝集反応あるいは補体結合反応)の陽転あるいは有意上昇で診断する.
・感染症法に基づく医師の届出疾患(4類感染症,全数把握).
・2001~2020年の20年間で,国内での発生は年間0~11例(平均年間5.3例)程度であるが,ワクチンの普及していない東南アジアや南アジアで多くみられる.
・ブタの抗体保有率が高い地域(四国,九州,関東の一部)では,ヒトへの感染リスクが高いと考えられる.
◆治療方針
A根本的な治療
感染後の根本的な治療はない.
B対症療法
1.発熱
Px処方例 成人は1)を,小
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