今日の診療
治療指針

日本脳炎 [■4類感染症]
Japanese encephalitis
新庄正宜
(慶應義塾大学専任講師・小児科学)

頻度 あまりみない

ニュートピックス

・ワクチンの製造上の問題に関連した出荷調整により,円滑な定期接種が行われないことがあるが,日本脳炎ワクチンでも2021年から同様の事例が発生した.

治療のポイント

・抗ウイルス薬が存在しないため,対症療法が中心となる.

・生後6か月から接種可能な不活化ワクチンによる予防効果が高い.

◆病態と診断

A病態

・フラビウイルス科フラビウイルス属の日本脳炎ウイルス(プラス鎖RNAウイルス)を原因とする感染症である.

・日本脳炎ウイルスが,自然宿主と考えられる鳥類からブタに感染し,ブタの間で感染拡大したあと,コガタアカイエカにより吸血され,その中腸で増殖する.

・媒介蚊によりヒトが吸血される際にヒトに入り込み,ウイルス血症を起こして中枢神経系の神経細胞の体部や軸索,樹状突起などに感染し,周囲に炎症を起こす.

・1~2週間の潜伏期を経て,100~1,000例に1例の割合で急激な発熱と頭

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