頻度 あまりみない
治療のポイント
・致死的疾患であるため,診断したらすみやかに治療(テトラサイクリン系薬)を開始する.
◆病態と診断
A病態
・発疹チフスはリケッチアに分類される偏性細胞内グラム陰性球桿菌(Rickettsia prowazekii)による感染症である.
・シラミ媒介性の発疹性疾患で,コロモジラミやアタマジラミが媒介する.
・感染経路は,主にシラミの体液やその糞便で刺咬部位や傷口が汚染されることによるが,エアロゾルとなったシラミの糞便を大量に吸入することにより,経気道的に感染する場合もある.
・日本では,1957年の1例を最後に発生は報告されていない.
B臨床症状
・感染後1~2週間(多くは12~14日)で,突然の発熱や頭痛,倦怠感を伴って発症する.
・典型的な皮疹は,発症後数日で体幹上部から始まり全身に広がるが,通常顔面,手掌や足底にはみられない.
・発疹は癒合傾向のない紅斑から点状出血を伴う