今日の診療
治療指針

HIV-1感染症 [■5類感染症-全数把握]
human immunodeficiency virus infection,acquired immunodeficiency syndrome(AIDS)
平井由児
(東京医科大学八王子医療センター教授・感染症科)

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GL抗HIV治療ガイドライン(2022)

GLHIV感染症「治療の手引き」(2021)

ニュートピックス

・早期の抗HIV療法開始は合併症やHIV関連死を低下させ,2次感染の抑制にも寄与する.TasP(Treatment as Prevention:予防としての治療),U=U(Undetectable=Untransmittable:HIVが検出感度未満なら感染しない)は科学的根拠をもって支持されている.

・抗HIV薬による曝露前予防(PrEP)が自費診療として国内でも行われるようになった.

・徐放筋注製剤を1~2か月に1回投与することによる治療が承認された.

・余命の延長により,生活習慣病や血液透析,発癌,認知症などの高齢化社会に共通した問題があり,医療,在宅,介護の連携が求められている.

治療のポイント

・HIVの早期診断は治療の一部であり,抗HIV療法開始前に日和見感染症を含むAIDS指標疾患の診断を十分に行う.

・CD4リンパ球数にかかわらずすべてのHIV患者に抗HIV療法を開始する.

・治療の開始にあたっては,医療助成制度,個人の病状(基礎疾患や合併症),ライフスタイルを考慮し,長期内服を妨げないように検討と準備をする必要がある.

・治療の目標は,①血液中のHIVを検出感度未満に抑制し,維持する,②免疫能の回復/維持,③2次感染の減少,④HIV関連疾患・死亡の減少・余命の延長,⑤QOLの改善,である.

◆病態と診断

A病態

・主にCD4陽性Tリンパ球にHIVが感染して生じる細胞性免疫不全症が主病態であり,①感染初期,②無症候期,③AIDS発症期に分類される.

・CD4リンパ球数は感染者の免疫状態を,HIV-RNA量はHIVの病勢を示す.

B診断

・HIVに感染してもHIV抗体検査が陰性となるwindow period(2~4週間)が存在し,曝露直後はHIV抗体が陰性であってもHIV感

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