頻度 割合みる(新規梅毒患者発生件数は2013年以降増加に転じ,2021年の新規患者数は現在の集計が始まって以来過去最高の7,873人に達した)
GL梅毒診療ガイド(2018)
GL性感染症 診断・治療ガイドライン2020
ニュートピックス
・海外の梅毒治療では,ベンジルペニシリンカリウム(PCG)徐放筋注製剤(ステルイズ)が第1選択薬となっている.日本では,2021年9月27日に製造販売が承認され,11月25日に薬価収載された.
治療のポイント
・経口薬は長期投与を強いられる.
・ペニシリン系薬は有効血中濃度の持続時間が短いため,1日複数回投与が必要となる.
・標準治療で抗体価が低下しない症例の効果判定が困難である.
◆病態と診断
A病態
・梅毒トレポネーマ(TP:Treponema pallidum)は感染者の血液,精液,腟分泌液などに含まれており,性行為により非感染者の粘膜や皮膚(特に傷口)に直接接触することにより感染する.
・潜伏期間を経て,局所の皮膚病変(初期硬結,硬性下疳),全身の皮膚病変(バラ疹,梅毒性乾癬),さらに全身の臓器(ゴム腫,大動脈炎,脊髄癆)に拡大する.
B診断
・抗体検査で自動化法が普及し,TP抗体がRPR法(抗カルジオリピン抗体)より早期に陽性化するようになったため,「RPR陰性かつTP陽性」は「梅毒治癒後」から「早期梅毒の可能性あり」に解釈が変更となった.
・20%の患者では治療後1か月のRPR値は50%減に達していないとされ,注意が必要である.
◆治療方針
「JAID/JSC感染症治療ガイド2019」に記載されている治療法を列記する.
A顕性梅毒(投与期間:第1期2~4週間,第2期4~8週間,第3期以降8~12週間)
(第1選択)
Px処方例 下記のいずれかを用いる.
1)ベンジルペニシリンベンザチン(バイシリン薬)G顆粒(40万単位/g) 1回1g 1日3回
2)アモキシシリ
関連リンク
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