頻度 あまりみない
治療のポイント
・バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)感染症は,5類感染症 全数把握の対象疾患である.
・必ず感受性試験結果を参照し,ペニシリンに感受性があればペニシリン系抗菌薬を使用し,ペニシリン・バンコマイシンいずれにも耐性の場合はリネゾリドやダプトマイシンを選択する.
・膿瘍や血管内カテーテルが感染フォーカスとなっている場合は,膿瘍のドレナージ,カテーテル抜去などの感染巣除去を併せて行う.
◆病態と診断
A病態
・腸球菌は,尿路感染症,腹腔内感染症,細菌性心内膜炎,血流感染症などの原因菌となる.
B診断
・腸球菌は腸管内常在菌であり,臨床検体から検出されたからといって即座に治療対象となるわけではない.一方で,血液や髄液などの無菌検体からの検出や,感染徴候を伴う患者の臓器より検出される場合には治療の対象とする.
・バンコマイシン耐性腸球菌(VRE:vancomycin-resistant enterococci)は,腸球菌のうちバンコマイシンに対して耐性化したものを示す.感染症法では,バンコマイシンのMIC値が≧16μg/mLである腸球菌について,感染症の原因菌と判断した場合には届け出義務がある(5類全数把握).
◆治療方針
感染症治療の大原則として,原因菌の薬剤感受性結果に沿った抗菌薬投与を行うべきである.
バンコマイシン耐性Enterococcus faeciumは,β-ラクタム系薬とアミノグリコシド系薬に対して同時に高レベルの耐性を示すことがある.対照的に,バンコマイシン耐性のE. faecalisは,E. gallinarumおよびE. casseliflavusと同様にペニシリン系薬に感受性が残されていることがあり,その場合はペニシリン系薬も治療薬の選択肢となる.VRE治療薬であるリネゾリド,比較的新規に開発されたダプトマイシンおよびチゲサイクリンは,バンコマイシ
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