今日の診療
治療指針

風疹 [■5類感染症-全数把握]
rubella(German measles)
三鴨廣繁
(愛知医科大学大学院教授・臨床感染症学)

頻度 割合みる

治療のポイント

・対症療法である.

・予防するには予防接種が有効である.

◆病態と診断

A病態

・風疹は,急性発熱性発疹性のウイルス感染症で,原因となる風疹ウイルスは,マトナウイルス科ルビウイルス属に属し,プラス鎖のRNAをゲノムにもつ1本鎖RNAウイルスで,エンベロープを有する.

・風疹の潜伏期間は2~3週間で,飛沫感染・接触感染で感染伝播する.

・風疹ウイルスのレセプターはミエリンオリゴデンドロサイト糖蛋白質(MOG)で,宿主細胞の膜に存在するスフィンゴミエリンとコレステロールの両者が風疹ウイルスの侵入に重要な働きをする.

・妊婦が妊娠20週頃までに罹患すると出生児が先天性風疹症候群(CRS:congenital rubella syndrome)を発症する場合がある.

・一般的な症状は発熱発疹リンパ節腫脹で,これが風疹の3主徴とされているが,不顕性感染が15~30%(50%)程度存在する.鑑別診断として,その他のウイルス感染症(修飾麻疹,伝染性紅斑,伝染性単核球症など),薬剤熱などがある.合併症は血小板減少性紫斑病,脳炎,関節症状,溶血性貧血などがある.

・先天性風疹症候群の主症状は,感音性難聴,白内障,先天性心疾患であるが,難聴の頻度が最も高い.妊娠1か月で顕性発症した場合は50%以上,妊娠2か月では35%,妊娠3か月では18%,妊娠4か月では8%の出生児に影響が出るとされる.

B診断

・風疹特異的IgM・IgGがあるが,IgMは発疹出現4日以降で陽性となること,持続性の弱陽性者がいることが知られており,またIgGのペア血清を用いた検査では迅速性に欠けることから,臨床では①急性期の検体〔血液(EDTA加血),咽頭ぬぐい液,尿など〕から風疹ウイルスを分離同定,②急性期の検体からPCR法などによる風疹ウイルス遺伝子の検出の2法が推奨される.いずれも地方衛生研究所を介して実施可

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