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GL抗微生物薬適正使用の手引き第二版(2019)
GLJAID/JSC感染症治療ガイド2019
◆病態と診断
A病態
・A群溶血性レンサ球菌(GAS:Group A Streptococcus)は,Lancefield血清型でA群に分類され,血液寒天培地上でβ溶血(完全溶血)を示すStreptococcus pyogenesを指し,多彩な疾病に関連する.
・咽頭炎は,急性気道感染症のうち喉の痛みを主症状とし,鼻汁・鼻閉や咳・痰が乏しい病型である.咽頭炎の原因はウイルスが多いが,GASによるものは成人で8.8~17.0%,小児では15~37%と報告される.GAS咽頭炎は5~12歳で頻度が高く,周囲に流行がなければ3歳未満児においてはまれである.
・GAS咽頭炎には,化膿性(扁桃周囲膿瘍・蜂巣炎,中耳炎,副鼻腔炎,壊死性筋膜炎)や非化膿性(急性リウマチ熱,猩紅熱,感染後糸球体腎炎)などの合併症が起こりうる.猩紅熱は,咽頭に感染したGASが産生する毒素によって生じる全身の皮疹や苺状舌が特徴的な合併症である.
・レンサ球菌毒素性ショック症候群(STSS:streptococcal toxic shock syndrome)は,GASなどのレンサ球菌を原因とする,突発的に発症し急激に進行して多臓器不全をきたす敗血症性ショック病態である.レンサ球菌毒素によって誘発される炎症性サイトカインの放出が原因とされる.
B診断
・GASによる咽頭炎は,突然発症,発熱,頭痛,嘔気・嘔吐,腹痛,圧痛を伴う前頸部リンパ節腫脹,猩紅熱様皮疹があり,咳や鼻汁を認めない場合に事前確率が高い.GAS迅速抗原検査の感度は70~90%だが特異度は95%と高く,陽性であれば追加検査は不要である.一方,培養検査は感度が高いが保菌者でも陽性となるため,臨床的にGAS咽頭炎の可能性が高いが迅速抗原検査陰性の場合に追加実施する
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