今日の診療
治療指針

水痘 [■5類感染症-定点把握]
varicella(chickenpox)
齋藤昭彦
(新潟大学大学院教授・小児科学)

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ニュートピックス

・2020年春からのCOVID-19のパンデミックによって水痘患者数は減少している.

治療のポイント

・治療の方針は基本,対症療法であるが,重症化のリスクがある場合は抗ウイルス薬による治療を行う.

・免疫不全者の水痘や重症例では入院のうえ,抗ウイルス薬の静注治療を行う.

・水痘ワクチンがその予防に重要である.

◆病態と診断

A病態

・水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV:varicella-zoster virus)の感染による発疹を伴う急性ウイルス感染症である.

・空気感染が主であり,その他,飛沫感染,接触感染も起こす.感染力がきわめて高い.

・潜伏期間は,通常14~16日(範囲10~21日)程度で,発疹が出現する48時間前から感染性がある.

・すべての発疹が痂皮化すると感染性がないと判断される.

・VZVに感染すると,所属リンパ節で4~6日間増殖したあと,1次ウイルス血症をきたす.その後,体内の網内系で増殖,感染から9日間程度で2次ウイルス血症をきたすが,このときに,ウイルスが全身に播種し,皮膚に発疹をきたす.

・発疹は紅斑から始まり,水疱となり,痂皮化する.発疹は全身に出現する.

・合併症として,皮疹の部位への細菌の2次感染,脳炎,小脳失調,血管炎,脳梗塞などがある.

・免疫抑制状態の児が罹患すると,重症感染症(肺炎,出血性,内向型)をきたし,予後が悪い.

・水痘に罹患後,VZVは脊髄前角の神経節に潜在し,免疫状態の低下や加齢などによってウイルスが再活性化し,神経節に沿った帯状疱疹をきたす.通常一側に限局し,痛みが強く,症状のコントロールに難渋することがある.

B診断

・病歴について,周囲での流行,水痘ワクチン接種歴,水痘の罹患歴などを聞く.

・皮疹は24~48時間かけて全身に拡がり,紅斑,水疱痂皮などのステージの異なる皮疹が頭皮を含めた全身にみられる.発熱を伴うこともある.

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