今日の診療
治療指針

敗血症 [■その他]
sepsis
小倉裕司
(大阪大学大学院准教授・救急医学)

頻度 よくみる(世界で年間約5,000万人が発症し,1,000万人以上が死亡している)

GL日本版敗血症診療ガイドライン2020(J-SSCG2020)

GLSurviving Sepsis Campaign Guidelines(SSCG)2021

ニュートピックス

・上記2つの診療ガイドラインが近年改訂され,敗血症の急性期管理だけでなく,長期的かつ社会的な患者・家族ケアの重要性が注目されている.

治療のポイント

・迅速な敗血症の診断・治療が重要であり,集中治療のできるスペースで全身管理を行う.

・敗血症性ショックからの早期離脱を目指し,同時に感染源の同定とコントロールを進める.

・敗血症に合併する集中治療後症候群(PICS)に留意し,長期的予後に目を向けたケアを心がける.

◆病態と診断

A病態

・敗血症は「感染症によって重篤な臓器障害が引き起こされた状態」と定義され,感染症に伴う生体反応が調節不能となった病態である.

・敗血症性ショックは,敗血症のなかでも「急性循環不全により細胞障害および代謝異常が重度となり,死亡率の高い状態」と定義される.

B診断

・敗血症は,①感染症もしくは感染症の疑いがあり,かつ②SOFA(sequential organ failure assessment)スコアの合計2点以上の急上昇として診断する(Sepsis-3,2016年発表).

・敗血症性ショックは,①平均動脈血圧≧65mmHg以上を保つために輸液療法に加えて血管収縮薬を必要とし,かつ②血中乳酸値>2mmol/Lとして診断する.

・救急外来・一般病棟における敗血症の初期スクリーニングツールとして,qSOFAの診断精度は低く,早期警告スコア〔NEWS(National Early Warning Score),MEWS(Modified Early Warning Score)〕の優位性が指摘されている.

バイタルサ

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