今日の診療
治療指針

ニューモシスチス肺炎 [■その他]
Pneumocystis pneumonia(PCP)
迎  寛
(長崎大学大学院教授・呼吸器内科学(第二内科))

頻度 あまりみない

治療のポイント

・ST合剤が第1選択薬であるが,副作用が多いため代替薬についても検討しておく必要がある.

・呼吸不全を伴う症例にはステロイドを併用する.

◆病態と診断

A病態

・ニューモシスチス肺炎(PCP)はPneumocystis jiroveciiによる日和見感染症であり,HIV感染患者や,ステロイドなど免疫抑制薬の使用による細胞性免疫不全状態が発症のリスク因子となる.

・HIV感染患者よりも非HIV感染患者のほうが急速に進行し,重症となることが多い.

B診断

・胸部CTでは,両側のびまん性すりガラス影が主体である.

・特異的な血清学的診断法は存在しないが,β-Dグルカンの上昇が有用な補助診断となる.

・確定診断には,気管支肺胞洗浄液のグロコット染色やDiff-Quik染色によって菌体を直接検出する.PCR法による遺伝子の検出も有用である.

◆治療方針

A治療

 ST合剤が第1選択である.副作用として発疹,消化器症状,肝機能障害,腎機能障害などがあり,いずれも高い頻度で認められる.投与困難と判断した場合は,軽症から中等症であれば忍容性が高いアトバコンを選択するが,有効性はST合剤に劣る.重症の場合はペンタミジンを第2選択薬として考慮する.治療期間は2~3週間が標準的である.

Px処方例 下記のいずれかを用いる.

1)スルファメトキサゾール・トリメトプリム(バクタ)配合錠 1回3~4錠 1日3回.体重・腎機能に応じ調節

2)スルファメトキサゾール・トリメトプリム(バクトラミン)注(5mL/A) 1回3~4A 1日3回 点滴静注.体重・腎機能に応じ調節

 ST合剤が使用困難な場合は第2選択薬として下記を投与する.

‍ (軽症~中等症)

3)アトバコン(サムチレール)内用懸濁液 1回5mL(アトバコンとして750mg) 1日2回 食後

‍ (重症)

4)ペンタミジン(ベナンバックス)注 1

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