今日の診療
治療指針

トキソプラズマ症
toxoplasmosis
鬼塚真仁
(東海大学准教授・血液腫瘍内科)

頻度 あまりみない

ニュートピックス

・トキソプラズマの寄生胞膜を認識し殺傷するメカニズムにIrgb6が関与していることが発見された(J Clin Invest 130:3370-3380,2020).

・2020年1月に「トキソプラズマ妊娠管理マニュアル 第4版」が示された.

・pyrimethamine,sulfadiazineは国内未承認であり,研究班で臨床試験としての治療が行われている.

治療のポイント

・胎児感染症例では分娩まで,免疫不全症例では数か月の長期間に及ぶ抗菌薬治療が必須となり,薬剤の副反応マネジメントが長期間投与を可能とするポイントである.国内未承認薬を使用することから,薬剤調達のため専門機関へのコンサルテーションが必要である.

◆病態と診断

A病態

・トキソプラズマ(Toxoplasma gondii)は,ネコ科動物を終宿主としてヒトを含む哺乳動物や鳥類などの恒温動物を中間宿主とする人畜共通寄生虫である.

・妊娠中の初感染により胎児感染すると,水頭症,頭蓋内石灰化,胎児発育不全などを起こす.

・免疫不全症例においては多発性中枢神経病変を発症し,脳症や巣症状などを呈する.そのほか,網脈絡膜炎,肺炎,心筋炎などが問題となる.

B診断

・免疫学的検査:血清抗トキソプラズマIgGを測定.妊婦初感染の場合にはIgM,IgG avidityを測定する(外注可能).

・生物学的検査:PCRにより血液・髄液からトキソプラズマが検出可能である.特異度100%であるが,検出感度は60~80%である(検査相談先:千葉大学大学院医学研究院・感染生体防御学)

・画像診断:免疫不全症例においてはMRIが最も有効な画像診断法である.その特徴は①multifocalである,②ring enhancementを認める,③治療前から出血の所見がある,④SPECTで取り込み低値となる,⑤concentric targ

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