今日の診療
治療指針

消化管・泌尿生殖器寄生の原虫症
intestinal and urogenital protozoan diseases
森本浩之輔
(長崎大学熱帯医学研究所特定教授・呼吸器ワクチン疫学)

治療のポイント

・症状は非特異的であり,病原体を正しく診断し治療することが肝要である.

・難治例においては,高用量の薬剤や国内未承認薬の使用が必要な場合もあり,専門医へのコンサルトが望ましい.

Ⅰ.ジアルジア症(ランブル鞭毛虫症)

頻度 あまりみない

◆病態と診断

・ランブル鞭毛虫による小腸や胆道系の感染症である.

・国内感染例もあるが,亜急性に経過する旅行者下痢症の原因として重要.

・糞便中に排出された感染性嚢子の経口摂取によって感染が成立する.

・下痢(しばしば脂肪性下痢),腹痛,鼓腸,食欲不振を呈する.一般に血便はみられない

・1~2週間で自然治癒するが,一部は慢性型に移行する.

・有形便では嚢子を,下痢便や十二指腸液では栄養型を顕微鏡検査で確認する.

◆治療方針

 メトロニダゾールを第1選択として使用するが,海外で薬剤耐性が増加していることに注意する.

Px処方例 下記のいずれかを用いる.

1)メトロニダゾー

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