頻度 あまりみない
治療のポイント
・外国からの移住者,海外旅行帰りの輸入症例があり,問診に注意し他の寄生虫疾患や腸管感染症の合併も考慮する.特に有病率が高いのはインド(カシミール)とコロンビアである.
・便と一緒に排出された虫体はできる限り診察時に瓶などに入れて持参するか,写真撮影を行うように促す.
◆病態と診断
A病態
・終宿主がヒトである回虫(Ascaris lumbricoides)によって引き起こされ,幼虫形成卵が経口摂取されることで感染が成立する.
・小腸で孵化した幼虫は血流に入り体内移行(肺など)を終え,成虫は小腸に寄生する.多数の虫卵を摂取した場合は肺移行の際に肺炎(Löffler症候群)を起こすことがある.
・最近は少数感染例が多く,無症状から,腹痛,下痢,食欲不振などを呈する.多数の感染による腸閉塞,胆管や膵管に迷入する例もある.
B診断
・健診の虫卵検査や虫体排出が受診の契機となることが