今日の診療
治療指針

エキノコックス症(包虫症)
echinococcosis(hydatid disease)
中村(内山)ふくみ
(東京都立墨東病院・感染症科部長)

頻度 あまりみない

ニュートピックス

・エキノコックス(多包条虫)が北海道以外に定着した可能性が示唆されている.2014年以降,愛知県の一定地域内の野犬にエキノコックス感染が継続してみつかっているためである.

治療のポイント

・エキノコックス症には多包虫症(AE)と単包虫症(CE)が知られている.

・AEとCEの活動性を評価し治療方針を決定するため,両者の鑑別が必要である.

◆病態と診断

A病態

・環境や終宿主動物の体毛に付着した虫卵を経口摂取することで感染する.

・多包虫症(AE:alveolar echinococcosis)ではほとんどの場合肝臓に病変が形成される.単包虫症(CE:cystic echinococcosis)では肝病変70%,肺病変20%,そのほか脳,脾臓,腎臓,心臓に病変が形成される.

・進行はきわめて緩徐で,感染後10~15年(第Ⅰ期あるいは潜伏期)はAE/CEのいずれも無症状で経過

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