頻度 あまりみない
ニュートピックス
・エキノコックス(多包条虫)が北海道以外に定着した可能性が示唆されている.2014年以降,愛知県の一定地域内の野犬にエキノコックス感染が継続してみつかっているためである.
治療のポイント
・エキノコックス症には多包虫症(AE)と単包虫症(CE)が知られている.
・AEとCEの活動性を評価し治療方針を決定するため,両者の鑑別が必要である.
◆病態と診断
A病態
・環境や終宿主動物の体毛に付着した虫卵を経口摂取することで感染する.
・多包虫症(AE:alveolar echinococcosis)ではほとんどの場合肝臓に病変が形成される.単包虫症(CE:cystic echinococcosis)では肝病変70%,肺病変20%,そのほか脳,脾臓,腎臓,心臓に病変が形成される.
・進行はきわめて緩徐で,感染後10~15年(第Ⅰ期あるいは潜伏期)はAE/CEのいずれも無症状で経過する.第Ⅱ期(進行期)になり病変が増大すると倦怠感,右季肋部痛,腹部膨満(感),発熱・黄疸などが出現する.こののち,特にAEで適切な治療がなされなければ第Ⅲ期(末期)に移行し,重度の肝障害,嚢胞感染などで死亡する.
B診断
・肝臓の画像異常所見が受診の契機となり,流行地居住歴といった患者背景から特異抗体の検出(免疫診断)で確定する.
・免疫診断でAEとCEを区別することが可能である.それぞれの虫体抗原を用いて検査する.
◆治療方針
AEの活動性はFDG-PETやMRIで評価し,外科的に完全切除できるか否かにより方針を決める.活動性がなければ“watch-and-wait”も可能.CEは腹部超音波所見によるWHO-IWGE US分類で活動性を評価し,病変の大きさや完全切除できるか否かで管理方針を決定する(表1図,2図).
A抗寄生虫薬
Px処方例
アルベンダゾール(エスカゾール薬)錠(200mg) 1回
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