A定義

　呼吸リハビリテーションとは，呼吸器に関連した病気をもつ患者が，可能な限り疾患の進行を予防あるいは健常状態を回復・維持するため，医療者と協働的なパートナーシップのもとに疾患を自身で管理して，自立できるよう生涯にわたり継続して支援していくための個別化された包括的介入である．運動療法，コンディショニング，ADLトレーニングに加え，セルフマネジメント教育を含めたプログラム構成が求められる．

Bコンディションニング

1．呼吸訓練

a．口すぼめ呼吸

　指導例：口をすぼめて［f］あるいは［s］という音をさせながら息を吐き，吸気と呼気の比は1：3～5程度，呼吸数10回/分程度を目標にしてゆっくり吐かせる．

b．横隔膜呼吸（腹式呼吸）

　指導例：ファーラー位かセミファーラー位（肺過膨張や腹壁の奇異性呼吸がある場合は体幹を前傾位にした起坐呼吸の体位）とする．患者の手を上胸部と上腹部に置き，その上から指導者の手を置く．呼気時には軽く上腹部と上胸部を圧迫しゆっくり呼気を促し，吸気中は軽い断続的な圧迫を上腹部に加え，上腹部を膨らませるように誘導する．呼気は口すぼめ呼吸で行い，吸気は鼻から吸う．

　呼吸法を習得したのち，歩行，階段昇降，入浴，洗髪時などの動作に応用する．

2．リラクセーション

　呼吸補助筋（斜角筋，僧帽筋，胸鎖乳突筋，後頸筋，菱形筋，大胸筋，脊柱起立筋，腰方形筋）のマッサージ・ストレッチ，楽な体位，呼吸介助法などを用いる．

3．胸郭可動域訓練

　徒手胸郭圧迫法