今日の診療
治療指針

肺結核
pulmonary tuberculosis
網島 優
(国立病院機構北海道医療センター・内科系診療部長)

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ニュートピックス

・2021年10月に潜在性結核感染症治療にイソニアジド(INH)・リファンピシン(RFP)2剤併用療法が公費負担で使用可能となり,治療期間が3(ないし4)か月に短縮された.

治療のポイント

・長期にわたる薬物治療を完遂するためには服薬支援を含めた患者への全人的サポートが必要であり,保健所などとの連携が重要となる.

◆病態と診断

A病態

・結核は結核菌による感染症であり,全身に病変を引き起こすが,大部分は肺を病変の主座とする肺結核である.

・空気(飛沫核)感染を起こすことと潜伏期が月~年単位と長く,早期発見・早期治療が感染対策に重要である.

B診断

・遷延する咳嗽や喀痰が疑う端緒となるが,同様の症状を示す疾患が多く,結核を鑑別疾患として想起することが重要である.

・喀痰の塗抹(鏡検),培養,核酸増幅検査で結核菌を証明することが診断ならびに感染性の評価のために重要であるが,証明できないことも少なくない.喀痰誘発器具の使用や胃液採取が有用なことがある.

・胸部画像検査などで疑わしい場合はインターフェロンγ遊離試験(IGRA:interferon-γ release assay)が補助診断法として有用な場合があるが,小児や高齢者,免疫抑制状態の場合は偽陰性や感染既往との区別ができない可能性に留意して判断する必要がある.

◆治療方針

 肺結核の治療は原則薬物治療となるため服薬のアドヒアランスが重要であり,直接服薬確認療法(DOTS:directly observed treatment,short course)を含めた「統合された患者中心のケアと予防」〔The end TB Strategy(WHO)〕による支援が必要とされている.

A初回治療時の標準治療

Px処方例 下記1)~4)を併用して開始する.4)の代わりに5)を使用することもできる.2か月(60日)使用後に3)は終了し

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