頻度 あまりみない
治療のポイント
・宿主の防御機能や免疫機能が病態を左右するため,基礎疾患などの治療が重要である.
・同じ真菌種であっても,病態や病勢が異なれば,治療方針も異なる.
・用量調節が必要である,またはloading doseの使用が推奨されている抗真菌薬については治療方針Eに記載している.
・免疫不全患者の治療を行う場合には,平素より専門医と連携し相談できる体制の整備が重要である.
◆病態と診断
A病態
・肺真菌症は,複数の真菌種による疾患の集合であり,宿主の基礎疾患,防御機能の低下,免疫機能の低下などの程度によって,病態・病勢・真菌の種類が異なるため,治療に際しては注意が必要である.
・全身性の深在性真菌症の病態の一部として肺を含むことがあるが,ここでは取り扱わない.
B診断
・感染症であり,培養検査,顕微鏡検査,病理組織学的検査が重要であることに変わりはないが,そもそもニューモシスチス属は培養が容易ではなく,血清検査や遺伝子検査などを用いて,病態と照らし合わせて総合的に判断する必要がある.
・免疫抑制薬の減量などにより免疫再構築症候群を示すことがあり,特に症状が増悪する場合に,感染症の増悪によるものか,免疫再構築によるものかを鑑別する必要がある.
・肺の感染症以外の原因が明らかでなく,抗菌薬に不応の場合などには鑑別に挙げる必要がある.
◆治療方針
原因真菌ごとに病態が異なり,治療方針も異なるため,それぞれについて治療方針を示す.血液疾患領域などと異なり,基本的には診断後に治療を行うが,侵襲性肺アスペルギルス症では経験的治療が必要な場合がある.
A肺アスペルギルス症
近年アゾール系抗真菌薬に耐性を認める症例が増加しており,専門施設などと協力し,可能な限り薬剤感受性検査を実施したほうがよい.診療経過については,侵襲性肺アスペルギルス症において「EQUALアスペルギルススコア2018」が提唱
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