今日の診療
治療指針

慢性閉塞性肺疾患(COPD)
chronic obstructive pulmonary disease(COPD)
浅井一久
(大阪公立大学大学院准教授・呼吸器内科学)

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GLCOPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン2022[第6版]

治療のポイント

・基本治療として,禁煙治療,ワクチン接種を実施する.

・気管支拡張薬が薬物療法の中心であり,気管支喘息合併症例や症状が強く増悪頻度の高い症例では気管支拡張薬と同時に吸入ステロイド(ICS)を追加する.

・運動耐容能,身体活動性の向上・維持のために,薬物療法と同時に呼吸リハビリテーション,患者教育を導入する.

・心血管疾患や骨粗鬆症,サルコペニア,フレイル,消化器系疾患,糖尿病,閉塞性睡眠時無呼吸などの全身併存症の適切な診断・治療に努める.

◆病態と診断

A病態

タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することなどにより生じる肺疾患であり,呼吸機能検査で気流閉塞を示す.気流閉塞は末梢気道病変と気腫性病変がさまざまな割合で複合的に関与して起こり,臨床的には徐々に進行する労作時の呼吸困難慢性の咳・痰を示すが,これらの症状に乏しいこともある.

・COPDの重症度は呼吸機能検査上の気流閉塞の程度のみならず,臨床症状,日常生活動作の程度,増悪の頻度,サルコペニア・フレイルの有無,低酸素血症・高炭酸ガス血症の有無,全身併存症や肺合併症の状態などから総合的に評価されるため,全身性疾患としてとらえる.

B診断

・診断基準は「気管支拡張薬使用後の呼吸機能検査(スパイロメトリー)で1秒率(1秒量/努力肺活量)が70%未満で,かつ胸部X線や胸部CT検査でほかの慢性呼吸器疾患が否定できる」であるが,50歳以上で重喫煙歴があり,COPDに相当する呼吸器症状を有し,胸部CT検査で気腫性病変が認められ,他の呼吸器疾患が否定されるような場合には,COPDに準じて治療を行うことも少なくない.

・コロナ禍など呼吸機能検査が困難な状態によるCOPD診断・治療の遅延を防ぐため,日本呼吸器学会の「COVID-19流行期日常診

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