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治療のポイント
・喘息とCOPDのそれぞれの特徴を併せもつ病態であるため,喘息に対する吸入ステロイド薬(ICS)による抗炎症療法と,COPDおよび喘息による気流閉塞に対する気管支拡張療法が基本となる.
・気管支拡張療法には,長時間作用性β2 刺激薬(LABA)および長時間作用性抗コリン薬(LAMA)の吸入薬が用いられる.
・吸入薬の併用には配合薬を用いるのが簡便であるため,ICS/LABAあるいはICS/LABA/LAMAの配合薬が用いられる.必ずICSを併用し,LAMA,LABAやLAMA/LABAの単独投与は行わない.
・ACOと好酸球性気道炎症を有するCOPDとは区別すべき病態として注意する.
◆病態と診断
A病態
・ACOでは,喘息やCOPD単独の場合と比較してコントロールが不良で,増悪頻度や重症度が高く,また,QOLや呼吸機能の低下も著しい特徴がある.
・ACOの病態は不均一であり,特にCOPD患者が喘息を合併した場合と喘息患者がCOPDを合併した場合では病態が大きく異なる.
・なお,ACOと好酸球性気道炎症を有するCOPDとは区別すべき病態として注意する.後者は,ICS(inhaled corticosteroids)の有効性が期待できるCOPDのフェノタイプの1つとしてとらえられるようになってきた.
B診断
・日本呼吸器学会「喘息とCOPDのオーバーラップ(ACO)診断と治療の手引き2018」において,診断基準が示されている(図).
◆治療方針
A非薬物療法
喫煙や抗原曝露など増悪因子の回避などの環境整備,インフルエンザ・肺炎球菌およびCOVID-19ワクチン接種による呼吸器感染症の予防,COPDの病態に応じて呼吸リハビリテーション,酸素療法などを行う.
B安定期の薬物療法
喘息に対するICSによる抗炎症療法と,COPDおよび喘息による気流閉塞に対するLABA(long-a
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