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ニュートピックス
・新規の吸入抗菌薬や経口抗炎症薬(DPP-1阻害薬)が開発され臨床試験の結果が報告されており,今後のさらなる薬剤開発が望まれる.
治療のポイント
・気管支拡張症は特発性以外にさまざまな疾患が原因となる場合があり,基礎疾患の有無および評価が重要である.
・主症状である喀痰に対しては去痰薬を用いる.
・喀痰症状の強い症例や急性増悪を反復する症例に対しては,マクロライド少量長期投与を考慮する.
・急性増悪時には起炎菌の同定を試みるとともに,同定困難な場合にはエンピリックに抗菌薬投与を行う.
◆病態と診断
A病態
・気管支拡張症は持続的炎症により気管支径の拡張をきたす形態学的変化に対して称される病態であり,単一の疾患ではなくさまざまな疾患によって引き起こされる.
・特定の基礎疾患が明らかではない特発性が最多であるが,先天性および後天性の基礎疾患が存在する場合も多い.
・先天性の基礎疾患:粘液線毛輸送系障害(原発性線毛機能不全症候群,嚢胞性線維症,Young症候群など),先天性気管支壁異常(Williams-Campbell症候群など),先天性免疫不全など.
・後天性の基礎疾患:小児期感染の後遺症,肺結核後遺症,慢性気道感染(非結核性抗酸菌症など),びまん性汎細気管支炎,副鼻腔気管支症候群,膠原病(関節リウマチ,シェーグレン症候群など),アレルギー性気管支肺アスペルギルス症,慢性閉塞性肺疾患など.
B診断
・慢性の喀痰や咳嗽の症状,下気道感染の反復,血痰の訴えがある患者については気管支拡張症の存在を疑う.
・胸部X線写真にて気管支壁肥厚による2本の平行する線状影(tram line)が認められることがあるが,所見に乏しいこともある.
・気管支拡張症の診断は胸部高分解能CT画像にて行われ,気管支の内径と並走する肺動脈の径の比が1以上,気管支の末梢への狭小化の欠如,胸膜直下での気管支の描
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