今日の診療
治療指針

びまん性汎細気管支炎
diffuse panbronchiolitis(DPB)
慶長直人
(結核予防会結核研究所・副所長(東京))

頻度 あまりみない

ニュートピックス

・わが国では,本疾患と鑑別困難な,内臓逆位を伴わない原発性線毛運動不全症(primary ciliary dyskinesia)の主要な原因遺伝子バリアントとして,DRC1遺伝子の28kbに及ぶ欠失アレルが報告されている.

治療のポイント

・マクロライド(特にエリスロマイシン)少量長期療法が第1選択である.

・クラリスロマイシン,アジスロマイシン耐性化を誘導しないように注意する.

・急性増悪による低酸素血症,高炭酸ガス血症の進行は入院の適応となる.

◆病態と診断

A病態

・本症は東アジアに多く,病理学的には呼吸細気管支周囲の炎症病変を特徴とし,高率に慢性副鼻腔炎を合併することから副鼻腔気管支症候群の範疇で理解される.すなわち,上下気道の慢性好中球性炎症と過分泌がみられる.

・喀痰中からは初期にはインフルエンザ菌,その後,緑膿菌が検出されることが多い.

B診断

・胸部X線検査上,両肺野にびまん性散布性粒状影を認め,進行すると両下肺の気管支拡張所見がみられる.呼吸機能や血液ガス所見の程度は病期によって異なる.典型的には閉塞性換気障害,低酸素血症がみられる.さらに進行すると肺活量が減少し,残気量が増加する.

・胸部CT画像では,両側,特に下肺に密に分布するびまん性小葉中心性粒状病変が主体であるが,しばしば細気管支の拡張,壁肥厚を伴い,進行するとびまん性気管支拡張所見がみられる.

◆治療方針

 1980年代に見出されたエリスロマイシン(マクロライド)少量長期療法により,予後が劇的に改善された.おそらく治療法の普及,衛生状態の改善に伴い,本症に遭遇する機会は少なくなっている.現在,特に気管支拡張症の原因となる他疾患との鑑別がきわめて重要である.

Aマクロライド少量長期療法

 エリスロマイシン療法が基本となる.無効例や消化器症状などにより服薬困難な場合,保険診療報酬の審査上,好中球

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