頻度 割合みる(人口10万対年間20~30人前後)
GL肺癌診療ガイドライン2021年版―悪性胸膜中皮腫・胸腺腫瘍含む
治療のポイント
・治療方針の違いから,限局型(LD)と進展型(ED)に分類される.ただし定義は曖昧で,片側胸郭内および対側縦隔・両側鎖骨上リンパ節に病変が限局し,胸水・心嚢水貯留がなく,根治照射が可能な症例をLDと呼称することが多い.
・LDには放射線療法(Ⅰ~ⅡA期は手術)+全身化学療法が基本であり,20%程度は根治も期待できる.EDには化学療法のみが適応で,根治は困難である.
・病期に加えて,年齢,PS,内科的合併症の有無に基づき治療法を選択する.
・プラチナ製剤併用療法に対する免疫チェックポイント阻害薬の上乗せは,プラチナ製剤併用療法単独に比べ,有意な生存期間の延長をもたらすことが複数の比較試験で証明された.
◆病態と診断
A病態
・小細胞肺癌は肺癌全体の約10~15%を占める癌であり,増殖速度が速く早期にリンパ節転移や遠隔転移を認める悪性度の高い腫瘍である.放射線療法や薬物療法に対する感受性は高いが,無治療であれば進展型の予後は2~4か月とされる.
・喫煙者や高齢者に多く発生するため,内科的合併症を有する症例が多い.
・肺門・縦隔リンパ節の腫脹をきたしやすい.
・神経内分泌マーカーのガストリン放出ペプチド前駆体(proGRP:pro-gastrin-releasing peptide)や神経特異エノラーゼ(NSE:neuron specific enolase)の上昇を認めることが多い.
B診断
・気管支鏡,胸水検査,リンパ節生検などにより確定診断がなされる.
・初回診断時は,脳MRI(CT),体幹部CT,FDG-PET(骨シンチでも可)を実施し病期を決定する.
◆治療方針
ALDの治療
限局型(LD:limited disease)のうちⅠ~ⅡA期(リンパ節転移がなく腫瘍サイズが