今日の診療
治療指針

悪性胸膜中皮腫
malignant pleural mesothelioma
長谷川誠紀
(兵庫医科大学主任教授・呼吸器外科学)

頻度 あまりみない(わが国で年間1,600人)

GL肺癌診療ガイドライン2021年版―悪性胸膜中皮腫・胸腺腫瘍含む

ニュートピックス

・2021年4月より,切除不能・再発の未治療胸膜中皮腫に対してイピリムマブ(ヤーボイ)とニボルマブ(オプジーボ)の併用療法が承認された.

治療のポイント

・組織型により治療効果が異なる.

・切除可能な悪性胸膜中皮腫には手術,薬物治療,放射線治療などによる集学的治療が推奨される.切除不能例では薬物治療が推奨される.

・労災または石綿健康被害救済制度の対象となることを患者に伝える必要がある.

・きわめて予後不良な疾患であるが,近年治療成績が大きく改善してきた.

◆病態と診断

A病態

・石綿曝露により発癌すると考えられており,曝露から発症までの潜伏期は30~40年とされる.現在症例数が増加中で,2030年前後がピークと予想される.

・職業性曝露と環境曝露があるが,曝露歴が明らかでない症例

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