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GL特発性肺線維症の治療ガイドライン2017
GL特発性間質性肺炎 診断と治療の手引き2022(改訂 第4版)
治療のポイント
・特発性肺線維症(IPF)の診断・治療は専門医にコンサルトすることが望ましい.
・慢性期には,抗線維化薬(ピルフェニドン,ニンテダニブ)による治療が推奨されている.
・急性増悪期には,ステロイドパルス療法が用いられる.
・呼吸不全症例に対する在宅酸素療法や呼吸リハビリテーションも検討する.
◆病態と診断
A病態
・原因不明の間質性肺炎は特発性間質性肺炎(IIPs:idiopathic interstitial pneumonias)と総称されるが,IPFはIIPsの50~60%を占め,最も頻度の高い疾患である.
・慢性刺激に対して反応性が亢進した肺胞上皮細胞やマクロファージ系細胞から増殖因子などが過剰産生され,線維芽細胞の増殖や筋線維芽細胞への分化が促進されることによりコラーゲンなどの細胞外基質の産生が亢進し,線維化の進行とともに蜂巣肺形成へと構造改変をきたすと考えられている.
・肺線維化の進行とともに,肺活量(VC:vital capacity)および努力性肺活量(FVC:forced vital capacity)が経年的に150~200mL程度低下していく慢性進行性の経過をとる.
・予後は不良で,5年生存率は30~50%である.
・胸部画像上すりガラス~浸潤影の出現を伴い,通常1か月以内の経過で呼吸不全が進行する「急性増悪」という病態があり,IPFによる死亡原因の約40%を占める.
B診断
・IPFに特異的な症状はなく,乾性咳嗽,労作時呼吸困難を主症状とする.全体の3割程度にばち指を認める.
・間質性肺炎マーカーである血清KL-6,SP-D,SP-Aの上昇が参考となる.
・既知の原因を除外しIIPsと診断したのち,高分解能CT(HRCT)で蜂巣肺などの通常型間質