今日の診療
治療指針

好酸球性肺炎
eosinophilic pneumonia
伊藤 理
(愛知医科大学教授・呼吸器・アレルギー内科)

頻度 情報なし(少ないと考えられるが,正確な統計はない)

治療のポイント

・慢性好酸球性肺炎と急性好酸球性肺炎は,異なる疾患概念であることを念頭におく.

・日常診療で好酸球性肺炎とよばれる症例は,慢性好酸球性肺炎であることが多い.

・薬剤性肺炎が好酸球性肺炎の病態を呈することもある.

・慢性好酸球性肺炎の治療はステロイドが基本である.ステロイド治療に伴う合併症に注意する.

・急性好酸球性肺炎は,誘発要因がある場合,原因の除去と経過観察で改善する場合がある.

Ⅰ.慢性好酸球性肺炎

◆病態と診断

A病態

・活性化した好酸球が気道や肺胞腔内へ浸潤することが主な病態である.

・胸部単純X線や胸部CT上で浸潤陰影を呈する.通常は末梢血好酸球増多を伴い,気管支肺胞洗浄液(BALF:bronchoalveolar lavage fluid)の細胞分画において好酸球比率の増加が認められる.

・本症は原因不明(特発性)であり,アレルギー性疾患や気管支喘息を合併することが多い.

B診断

・画像所見では,肺水腫のネガ像(photographic negative of pulmonary edema)といわれる辺縁主体の濃度上昇が特徴的である.

・健診での胸部X線異常として発見される場合もある.

・抗菌薬治療に不応性の肺炎に遭遇した場合,本症の可能性がある.

・末梢血好酸球増多を伴う.気管支喘息が先行するか,随伴することも多い.

・気管支鏡検査により確定診断がなされる.BALFの細胞分画において好酸球増多,好酸球比率の増加が認められる.

・特発性器質化肺炎(COP:cryptogenic organizing pneumonia)や薬剤性肺炎,好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA:eosinophilic granulomatosis with polyangiitis)などとの鑑別を要する.

◆治療方針

 好酸球の肺胞腔内への浸潤を

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?