今日の診療
治療指針

過敏性肺炎
hypersensitivity pneumonitis
西村善博
(北播磨総合医療センター・病院長(兵庫))

頻度 あまりみない(人口10万人対年間1~2人.増加傾向)

GL過敏性肺炎診療指針2022

ニュートピックス

・慢性型線維性過敏性肺炎30例ずつに対して,ステロイド治療群と非ステロイド治療群の比較検討を行ったところ,ステロイド治療群において有意に生存率が良好で,6,12,24か月後の努力性肺活量(FVC)は減少なく保たれていた.特に胸部画像上線維化所見の少ない症例での効果が期待できた(BMC Pulm Med 21:243,2021).

治療のポイント

・抗原回避が最も重要である.

・呼吸不全を伴う急性型では経口ステロイド薬を考慮する.

・慢性型には,経口ステロイド薬に加えて,線維化に対して抗線維化薬が適応となる.

◆病態と診断

A病態

・過敏性肺炎の主病態は,何らかの抗原や有機粉塵の吸入によるアレルギー性反応によって肺胞および細気管支に引き起こされた炎症である.

・夏型過敏性肺炎では真菌のTrichosporon asahii,鳥関連過敏性肺炎では鳥類血清蛋白,糞,羽毛などが原因抗原として考えられている.

・急性と慢性があり,急性では抗原曝露後4~8時間で咳嗽,息切れ,発熱などを呈し,原因物質から離れることで自然に軽快する.一方,慢性では,労作時呼吸困難が主たる症状で,臨床上特発性肺線維症(IPF:idiopathic pulmonary fibrosis)との鑑別が難しい場合も多い.

B診断

・本症を疑うことが最も肝要であり,病歴聴取が特に重要である.ある一定の場所や環境下で症状の悪化があり,入院など原因物質からの回避により症状の改善,軽快がみられる.

・入院後改善が得られた場合には,試験的な環境曝露(自宅への帰宅・外泊,加湿器使用,羽毛布団使用など)により症状,炎症反応,酸素化障害,胸部画像所見の悪化が認められれば,診断は確実となる.

・原因抗原に対する特異的IgG抗体検査(夏型過敏性肺炎での抗トリ

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