今日の診療
治療指針

じん肺症
pneumoconiosis
大塚義紀
(北海道中央労災病院・院長)

頻度 あまりみない

治療のポイント

・じん肺とは,粉じんを吸入することによって肺に生じた線維増殖性変化を主体とする疾病である.溶接工肺の一部を除く多くのじん肺症は不可逆的な経過をたどる.

・じん肺法施行規則で定められた合併症(特に続発性気胸,肺癌)に注意しながら,咳嗽,喀痰,息切れなどの呼吸器症状を対症的に治療する.じん肺症の患者には喫煙者が多くみられ,慢性閉塞性肺疾患(COPD)の病態を併存することが多いため,禁煙指導とともにCOPDの治療を行う.

・じん肺にみられる続発性気胸は,持続性,難治性であり時に致命的となるので,脱気が大量で持続する場合には早めに呼吸器外科医に相談することが重要である.

◆病態と診断

A病態

・じん肺症の初期に,線維増殖性変化が進行し両側上肺野に粒状影(小陰影)を呈する.さらに進行すると粒状影が集簇して進行性線維化塊状巣(大陰影)を呈する.大陰影を呈するじん肺では病変内に気管

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