頻度 あまりみない
治療のポイント
・じん肺とは,粉じんを吸入することによって肺に生じた線維増殖性変化を主体とする疾病である.溶接工肺の一部を除く多くのじん肺症は不可逆的な経過をたどる.
・じん肺法施行規則で定められた合併症(特に続発性気胸,肺癌)に注意しながら,咳嗽,喀痰,息切れなどの呼吸器症状を対症的に治療する.じん肺症の患者には喫煙者が多くみられ,慢性閉塞性肺疾患(COPD)の病態を併存することが多いため,禁煙指導とともにCOPDの治療を行う.
・じん肺にみられる続発性気胸は,持続性,難治性であり時に致命的となるので,脱気が大量で持続する場合には早めに呼吸器外科医に相談することが重要である.
◆病態と診断
A病態
・じん肺症の初期に,線維増殖性変化が進行し両側上肺野に粒状影(小陰影)を呈する.さらに進行すると粒状影が集簇して進行性線維化塊状巣(大陰影)を呈する.大陰影を呈するじん肺では病変内に気管支や血管を巻き込むため,息切れや肺機能の低下がみられる.
・石綿(アスベスト)肺は,石綿の吸入によるじん肺であり,呼吸細気管支病変が両側下肺や胸膜直下から広がる病態を呈し,不整形陰影を形成する.石綿は発癌性があり,肺癌,中皮腫の原因となる.さらに胸膜炎を起こし,癒着してびまん性胸膜肥厚の原因にもなる.
B診断
・粉じん作業歴の確認が重要である.じん肺法で定められた24種の粉じん作業のうち,どの作業に何年間従事したかを確認する.多くは10年以上の粉じん吸入歴を伴う.
・胸部X線写真にてじん肺法での病型を分類する.1cm未満の粒状影や不整形陰影などの小陰影と1cm以上の大陰影により1~4型に分類する.石綿肺の診断では,プラーク以外に細気管支病変を示す胸膜直下の点状陰影,それらが連なる弧状の線状影の存在が重要である.
・じん肺法で定められた6つの合併症(肺結核,結核性胸膜炎,続発性気管支炎,続発性気管支拡
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