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GL成人肺炎診療ガイドライン2017
ニュートピックス
・2017年から死亡統計が変わり,肺炎と誤嚥性肺炎が別々に報告されている.2020年の誤嚥性肺炎による死者数は約4万2千人で,近年増加傾向にあり大部分が高齢者で占められる.
治療のポイント
・A-DROPシステムにより重症度判定を行うが,患者のほとんどが誤嚥のリスクをもつ高齢者であるため可能な限り入院治療が望ましい.
・入院後に嚥下評価を行い,ADL低下を回避するために臨床症状や炎症所見をみながら可能な限り迅速にリハビリテーションを開始する.
◆病態と診断
A病態
・誤嚥には顕性誤嚥(食物や吐物の誤嚥など明らかな誤嚥)と不顕性誤嚥(唾液の誤嚥など周囲に気づかれない誤嚥)があり,それらが発症に関与する肺炎を誤嚥性肺炎と定義する.
・不顕性誤嚥からの肺炎は細菌性肺炎で,高頻度に認められる.一方,顕性誤嚥からの肺炎は食物や酸性の胃内容物の肺内吸引による化学性肺炎で,重症度が高い.
B診断
・脳血管障害,脳変性疾患,消化管疾患および医原性など誤嚥のリスクを有する高齢者が低酸素血症をきたし,胸部X線およびCTスキャンで下肺特に背側にコンソリデーションを認め,かつ嚥下機能の低下が確認された場合に本症と診断する.
・血液検査で末梢血の白血球増多,CRPならびにプロカルシトニン高値が認められる.
・起炎菌の同定は標的治療のため必須であり,喀痰塗抹・培養検査,尿中抗原検査,血液培養を迅速に行う.
◆治療方針
入院後は絶食とし,酸素投与下で補液と抗菌薬投与を開始する.抗菌薬はエンピリック治療として肺炎球菌,グラム陰性桿菌,嫌気性菌など口腔内由来菌をカバーできるものを選択する.
A抗菌薬
1.外来治療(軽症の場合)
Px処方例
レボフロキサシン(クラビット薬)錠(500mg) 1回1錠 1日1回
2.入院治療(中等症以上)
Px処方例 下記のいずれかを用いる.
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関連リンク
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