頻度 あまりみない(男性で0.27/10万人,女性で0.07/10万人とされる)
治療のポイント
・成人型ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)は喫煙関連肺疾患と考えられており,治療には禁煙が必須である.
・肺高血圧症を合併することがある.肺外病変を合併することもある.
◆病態と診断
A病態
・LCHは単一臓器型と多臓器型に分類される.
・BRAFV600E,MAP2K1などの遺伝子変異がみられる.
・進行すると咳,呼吸困難をきたし,気胸を合併することもある.成人の肺LCHでは単一臓器型が多いが,4~15%には骨病変,5~15%には中枢性尿崩症を認めることがある.
B診断
・本疾患の患者の90%以上が喫煙者である.好発年齢は20~40代とされるが,喫煙開始年齢が高いと発症年齢も高くなる.
・高分解能CT(HRCT)所見は,上肺野優位の小葉中心性の空洞を伴う多発小結節を呈し,進行すると嚢胞性変化が優位となる.確定診断は病理所見であるが,経気管支肺生検では診断は難しく,外科的生検が必要なことが多い.
・ランゲルハンス細胞(LCs)はねじれた核をもち,S100蛋白,CD1a,CD207(ランゲリン)陽性で,電子顕微鏡ではBirbeck顆粒を認める.初期にはLCsとともに好酸球,リンパ球,好中球が細気管支周囲に浸潤し,進行するに従い細気管支壁の破壊,線維化,嚢胞形成がみられる.
・気管支肺胞洗浄液中のCD1a陽性細胞が5%以上ならLCHを示唆する.
◆治療方針
まず禁煙が必須である.禁煙のみで自覚症状やCT所見が改善する場合が多い.進行例では全身性ステロイド治療や化学療法の報告があるが,エビデンスは乏しい.重症呼吸不全や肺高血圧に対しては肺移植が適応となることもある.
Px処方例
プレドニゾロン(プレドニン薬)錠 1回0.5~1.0mg/kg 1日1回 朝食後.漸減
■専門医へのコンサルト
・画像所見からの鑑別診断と