頻度 割合みる(米国の報告では10万人あたり50~80人程)
GLARDS診療ガイドライン2016 Part1,Part2
治療のポイント
・Berlin定義に基づき重症度が,軽症・中等症・重症ARDSに分類された.
・重症度に応じた呼吸管理の方法が,推奨のレベルには達していないが提示されている.
・4~8mL/kgの低換気量,プラトー圧≦30cmH2Oの低吸気圧で人工呼吸器管理を行う.
・重症ARDSに対しては,12時間以上は腹臥位で管理する.
・胸部CTを併用することにより,ARDSの病理像との対比を検討し,その予後や治療戦略を検討する一助となりうる.
◆病態と診断
A病態
・ARDSは敗血症などによる間接的損傷と肺炎などによる直接的損傷に分けられ,種々の疾患や外傷を誘因として発症する非心原性肺水腫である.
・何らかのイニシエーターにより活性化された好中球が肺内に集積し,そこから放出された蛋白分解酵素や活性酸素により肺微小血管内皮や肺胞上皮細胞が損傷され,透過性亢進型の肺水腫が形成される.さらに微小血管内の凝固異常,間質の浮腫,線維化,肺胞の破壊を伴い,重度のガス交換障害をきたす.
B診断
・診断基準は2012年に新たにBerlin定義として提唱され,①急性発症・1週間以内,②胸部画像上の両側性陰影,③低酸素血症,④左心不全や過剰輸液負荷のみでは説明できない疾患,の4項目からなる.
・重症度は酸素化の程度から軽症(200Torr<PaO2/FiO2(以下,P/F)≦300Torr),中等症(100Torr<P/F≦200Torr),重症(P/F≦100Torr)に分け,酸素化評価時は呼気終末陽圧(PEEP:positive end-expiratory pressure)≧5cmH2Oとされている.
◆治療方針
ARDSに対する根本的な薬物治療は確立されていない.肺保護戦略の一環として適切なPEEP
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