頻度 あまりみない
治療のポイント
・症状を有する症例や,無症状であっても流入動脈の径が2~3mm以上の症例は,経カテーテル的塞栓術の適応である.
◆病態と診断
A病態
・肺動静脈奇形(PAVM)は,拡張した流入肺動脈と流出肺静脈およびその吻合部からなる血管の異常である.肺動静脈瘻(PAVF:pulmonary arteriovenous fistula)ともよばれる.
・PAVMのほとんどは先天性であり,特発性と常染色体優性遺伝の遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT:hereditary hemorrhagic telangiectasia,Osler-Weber-Rendu症候群ともよばれる)の部分症状として出現するものがある.後天性に肝硬変や外傷などに起因するものもある.
・単発性と多発性の場合があるが,約1/3が多発性である.多発性のPAVMはHHTに合併する頻度が高い.本邦ではPAVMの12~31%程度はHHTを合併する.
・多くは無症状であり,胸部異常陰影として発見されることが多い.右左シャント率が高い場合には,低酸素血症,チアノーゼ,労作時呼吸苦などを呈することがある.ほかの肺合併症として,破裂による喀血・血胸を起こすことがある.
・肺動脈血が毛細血管を介さず肺静脈に直接交通することにより,血栓・細菌などが肺毛細血管で取り除かれずに体循環系に流れ,全身の動脈系に血栓・感染症を起こすことがある(奇異性塞栓症,paradoxical embolism).放置すると脳塞栓症,脳膿瘍などの重篤な合併症を引き起こすリスクがある.
・約25%のPAVMは,サイズが年間0.3~2.0mmずつ増大していく.
B診断
・多くは無症状であり,胸部異常陰影として発見されることが多い.結節影の精査のために気管支内視鏡検査で生検を行うと大出血するおそれがあり危険である.
・スクリーニングには胸部単純X線および胸部